
プログレッシブロックといえば彼らだった
King Crimsonはロバートフリップのバンドである。
メンバーの入れ替わりも激しく、フリップが気に入らないメンバーを辞めさせ
新たなメンバーでバンドをつくる。フリップバンド、ユニットといってもいい
くらい音楽コンセプト、スタイルのイニシアチブをとっていた。
とりあえず、デビュー時のメンバーを紹介しておくと
ロバート フリップ(ギター、メロトロン)
イアン マクドナルド(サックス、キーボード、ボーカル)
マイケル ジャイルス(ドラムス、ボーカル)
グレッグ レイク(ベース、ボーカル)
ピート シンフィールド(作詞)
ピート シンフィールドの案でキング クリムゾンとグループ名を決め、リハーサルを
開始したのが、1969年の1月。4月には正式にデビューコンサートを行い、関係者から
大いに評価されることになる。ムーディブルースのプロデューサーのトニー クラーク
が彼らのプロデュースにあたってレコーディングしていたが、途中でクリムゾン自身で
プロデュースするようになり、10月には「In The Court Of The Crimson King/
クリムゾンキングの宮殿」を発表する。
これは、紛れもなくプログレッシブロックの傑作である。
しかし、全米ツアー中に早くも、イアン マクドナルドとマイケル ジャイルスが脱退
を宣言。ツアー後二人は正式に脱退。フリップは人選を開始した。
次なるメンバーは以下の通りであった。
ロバート プリップ、グレッグ レイク、ピート シンフィールドの他
キース ティペット(ピアノ)
メル コリンズ(サックス、フルート)
ゲストとして
マイケル ジャイルス(ドラムス)
ピーター ジャイルス(ベース)
ゴードン ハスケル(ボーカル)
グレッグ レイクをボーカルに専念させて作ったのが「In The Wake Of Poseidon/
ポセイドンのめざめ」である。しかし、'70年5月のリリース前にあのEL&P結成のため
グレッグ レイクが脱退する。さらにオリジナルメンバーのシンフィールドともうまく
いかなくなっていた。そんな状況下で多数のゲストを迎えて制作したのが「Lizard」で
ある。メンバーは以下のとおり。
ロバート プリップ、ピート シンフィールド、キース ティペット、メル コリンズ
の他
ゴードン ハスケル(ベース、ボーカル)
アンディ マックローチ(ドラムス)
ロビン ミラー(オーボエ)
マーク チャリグ(コルネット)
ニック エバンス(トロンボーン)
ジョン アンダーソン(YESのボーカリスト)
しかし、レコーディング後、ハスケルが脱退。そこでボーカリストのオーディションを
した結果、以下の二人が加入した。
ボズ バレル(ボーカル、ベース)
イアン ウォーレス(ドラムス)
ベーシストが見つからなかったため、フリップはボズ バレルにベースの手ほどきをして
マスターさせてしまった。ウォーレスにしても、もともとボーカリストとして来たのだが
ドラムができるということで採用されたらしい。おかげでマックローチはクビになった。
余談だが、このオーディションにブライアン フェリーも来たが不採用となった。
(このあと、フェリーはRoxy Musicを結成することになる)
久々にライブ活動をしながら制作されたのが4枚目のアルバムとなる「Islands」である。
が、今度はピート シンフィールドをクビにし、さらにライブアルバム「Earthbound」
のリリース前にグループを解散させてしまった。
いろいろなセッションに参加したり、Roxy Musicのブライアン イーノとの交流を深め
たりする充電期間を経て、フリップはついに新たなメンバーの人選を開始。
第2期フリップユニットのメンバーはフリップの他は次のとおりだった。('72年7月)
ビル ブラッフォード(ドラムス、パーカッション)
ジョン ウェットン(ボーカル、ベース)
デヴィット クロス(バイオリン、キーボード)
ジェイミー ミューア(パーカッション)
リハーサルとライブツアー後、「Larks' Tongues In Aspic/太陽と戦慄」を発表。
これもファーストと並ぶ傑作として評価されている。この後、ミューアの脱退があり
残った4人で、74年には「Starless And Bible Black/暗黒の世界」をリリース。
アメリカやヨーロッパでのツアーの後、デヴィット クロスが脱退。
残った3人とゲストにイアン マクドナルド、メル コリンズ、ロビン ミラーらを
迎えて完成させたのが「Red」である。とても緊張感があり完成度の高さを誇っている。
しかし、フリップは突然、クリムゾンの解散させてしまう。'74年のことである。
このあと、'81年再結成し活動を再開したが、私はすでに彼らの良き聴き手でなかった。
「Three Of A Perfect Pair」を聞いても、以前の感激はなかった。もちろんすごい
演奏なんだけど・・・。長い間、クリムゾンから離れてしまったある日、たまたま
「THRAK」を見つけて買ってしまった。'95年のことである。
これを聞いてやはり、私はいまだに'74年までの彼らの音楽を求めているということを
自己認識してしまった。そしてこのアルバムのなつかしい音に、おもわず聴きこんで
しまった。久しぶりに・・・・。(このアルバムについては後述)
キング クリムゾンの音楽
デビューアルバムにしてすでに完成していた。これがプログレなんだ!と、当時、単純に
感激していた記憶がある。「クリムゾンキングの宮殿」を聴いた時である。
それまでに、ピンクフロイド、イエス、EL&Pを聴いて、プログレッシブロックにのめり
こんでいた。ピンクフロイドのロジャーウォータースの歌詞も好きだったし、イエスの
「こわれもの」「危機」も傑作。EL&Pの「展覧会の絵」にも感激した。
が、基本的にギターミュージックで、テクニック、演奏力、ロックという形態をとった
自己表現の方法としての言葉、歌詞、作曲、アレンジ等を見たときに、やはりクリムゾン
が最も優れているのではないか。
フリップは詩を書かない人なのだが、アレンジ、コンポーザー、プレーヤーとしては
まさに、天才であろう。もともと正式な音楽教育を受けて、バイオリンからあらゆる楽器
をマスター。ギターのテクニックはすごいの一言。緻密で正確無比な演奏はもちろん、
変則リズム、インプロヴィゼイション、アレンジのどれをとっても完璧である。
もちろん、フリップ以外のメンバーの演奏力、表現力も尋常でないことも手伝って
彼らの曲は彼らしか演奏できないのではと思えるほど複雑で、すばらしいものである。
ここで、忘れてはいけないのは、ピート シンフィールドの歌詞であろう。
彼は逆に演奏はしない代わりに初期のクリムゾンの世界を創り出した人である。
歌詞は、難解なものが多いが、社会を皮肉った危機感、憂鬱感、混乱と混迷、混沌とした
他人と社会への怒り、絶望感にあふれた表現、これまた天才的な詩人である。
シンフィールドとフリップがうまくかみ合っていた前期のクリムゾンは敵なしである。
やはり「クリムゾンキングの宮殿」を代表作としたい。今、聴いても完成度が高く、時代
の空気は感じるが、曲としては古さを感じない永遠の名作である。
固定のメンバーのバンド形式には全くこだわらず、気に入ったミュージシャンのユニット
としてのイニシアチブをとっていたフリップの真骨頂は「太陽と戦慄」から。
ミュージシャンも最強。それまでのアルバムとは基本コンセプトから異なり、曲の構成
アレンジがすばらしい。リズムセクションが特によく、それがギターを生かしており
それらの絡み合いの演奏がAspicを表現しきっている。
クロスのバイオリンも”Larks' tongues”をうまく表現している。
静と動、弱と強、映画を音で表現したような傑作といっていいであろう。
このボルテージの高さは「暗黒の世界」「Red」にも展開されていった。
なお、この3枚の歌詞はウェットンの友人のリチャード パーマー ジェームスが担当
している。彼は”我々に見えるものは星一つない聖書の闇”と言った。
結局、クリムゾンは錯乱、混乱を墓碑銘に最後も何にも見えないと言って解散した。
アルバム紹介
「クリムゾンキングの宮殿」・・・初期の傑作。プログレファン必聴盤。
彼らの記念すべきデビューアルバムであり、ロックの名盤。
それにしても驚異的なアレンジと演奏である。初めて聴いたアルバムがこれなんで
余計に思入れがあるのかもしれないが、全曲すばらしい仕上がりである。
グレッグレイクのボーカルにも泣けちゃう美しさがあり絶品。
21世紀の精神異常者、風に語りて、エピタフ、ムーンチャイルド、そして最後の
クリムゾンキングの宮殿、別世界に誘われます。
「ポセイドンのめざめ」・・・前作の延長上の曲調
このアルバムのなかでは”ケイデンスとカスケイド”が好きでした。
あまり聴きこんでないアルバムでレビューにならないが、デビューアルバムと
似ていたような記憶がある。
「リザード」・・・アコースティックギターが印象的
ボーカルが気に入らないアルバムだが、演奏は文句なし。
1曲目の”サーカス”がお勧め。インドアゲームズは何度も聴くうちに、耳に
こびりつく不思議な曲。個人的にアルバムジャケットが気に入ってる。
「アイランズ」・・・沈んだ暗さのなかの美しさを感じる
やはりアルバム最後の”アイランズ”がすばらしい。
「太陽と戦慄」・・・クリムゾンの超傑作。ウェットンのボーカルが良い
あたらしいコンセプトで制作された彼らの6枚目のアルバム。
なんといってもドラムスのビルブラッフォード、ベースにジョンウェットンと
最強のリズムセクションの繰り出す圧倒的な音とフリップの天才的ギターワークの
生み出す攻撃性と緊張感がすばらしい。また、ウェットンのボーカルもGOOD!
曲の構成も緻密で、オリジナリティあふれたアレンジに脱帽。演奏はもちろん
言うことなし。こんな演奏をできるグループは他にはいないだろう。
”太陽と戦慄パートT”、”放浪者”、”太陽と戦慄パートU”が特に良い。
「暗黒の世界」・・・ますます曲の構成が複雑に
このアルバムのなかでは、”偉大なる詐欺師”、”トリオ”、”フラクチャー”
が好きです。曲の構成が良く非常に練られて制作されている。リズムも複雑で
特に”フラクチャー”はとても緊張感、危機感あふれるすばらしい曲。
「レッド」・・・メタルクリムゾンここにあり
ギターを前面に押し出し、メタルクリムゾンを強調したアルバム。
1曲目の”レッド”と最後の”スターレス”がすばらしい。
前作でもそうだがリズムセクションが良く、複雑な構成の曲をすばらしい表現力
とアレンジで演奏で聴かせてくれる。
スターレスの曲構成も最高!特に後半の盛り上がりの部分は何度聞いてもゾクゾク
してしまう傑作。
追加
「THRAK」
「RED」までのアルバムを聞きまくった人なら、このアルバムには、なつかしい音が
随所にでてくるのがわかるであろう。昔の財産をうまく使って曲にしている。
'80年代のクリムゾンのアルバムはあまり好きでないが、このアルバムは久々の
傑作である。わかりやすく制作されているがとてつもなく緻密で高度な演奏は
すばらしく、曲も粒ぞろい。1曲目の”VROOOM”でもう決まりです。緊張感が
違う。”DINOSAUR”、”THRAK”、”VROOOM、VROOOM”など緊迫感と重圧感を
表現できるのは、クリムゾンだけか。
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